相子智恵『呼応』 郡司和斗五句選 ゴールポスト遠く向きあふ桜かな 日盛や梯子貼りつくガスタンク 紙吹雪固まり落ちや初芝居 まゐつたと言ひて楽しき夕立かな ハンガーにハンガーにかけて十二月 塚本櫻𩵋五句選 古着屋は他人の匂ひ冬の雲 ひもの屋の干物のた…
お久しぶりです。前回からかなり空いてしまったのですが、まだまだ焚火は燃えてます。 『ヘクタール』5首選 郡司和斗 あなたより先に死にたしそののちのあなたの死後にふたたびを死ぬ 白壁を這う枝の影かろうじてそこにわたしはいたのだけれど 何年も泣いて…
大木あまり『遊星』 本野櫻𩵋十句選 3・11灯すことさへはばかれり 逝く人に声かけつづけ南風 支柱なき苺畑や雨の音 躓くや涼しき尾つぽなきゆゑに アイマスクして梟を思ひけり 蒸し浅利大盛りにして隙間あり さよならは朝顔に水あげてから 春ショールふは…
映画『サイダーように言葉が湧き上がる』 和:こんにちは郡司和斗です。芭蕉さん、 今日はよろしくお願いします。 芭蕉:松尾芭蕉です。映画はあんまり観ないんだけど、 これはそこそこおもしろかったね。今日はよろしくお願いします。 和:はい、それでは、…
平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』 郡司和斗 十首選できたての一人前の煮うどんを鍋から食べるかっこいいから下室が家にあるふりされているわたしの声は重いのかしらそりゃ男はえらいよ三〇〇メートルも高さがあるし赤くひかっていつか死ね いつかほんとに…
鴇田智哉『エレメンツ』 郡司和斗選十句うららかに手の持主が来るといふ一をかぞへる噴水の一時間この秋のをはりの旗を配らるる火が紙にくひ込んでゐる麦の秋かなかなといふ菱形のつらなれりうなづくと滝の向うの音がするきのふをととひと次第に玉になる す…
郡司 第二回は「ねむらない樹vol.6」ということで、まずは順当に笹井宏之賞から読んでいこう。大賞は乾遥香さん。北赤羽歌会等でそこそこ一緒にやってきた方で、個人的に読むのを楽しみにしていた。桜魚さんは基本的に俳句メインでやっていると思うんだけど…
郡司和斗選十句近づいてくる秋の蚊のわらひごゑ冬に入る古墳は水に囲まれて吾を映すあたらしき墓洗ひけり断面のやうな貌から梟鳴く蜻蛉すいと来て先生の忌日かなおとろへし太陽を負ひ秋の蝿賀茂茄子のはちきれさうに顔うつす永き日の桶をあふるる馬のかほ木…